ペインクリニックの診察室から

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック 〒662-0971 西宮市和上町1-16日本生命西宮ビル1階 Tel 0798-38-8388           ペインクリニック専門医 頭痛専門医                     ペインクリニック(痛みの治療) 頭痛外来

2011年2月28日月曜日

頭痛勉強会

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック


東京は品川で開催された頭痛フォーラムに参加して参りました。
様々な専門分野の第一人者の講演が聴けるので毎年楽しみにしている会の一つです。

興味深かった演題として
「ストレスはなぜ頭痛をおこすのか」
ストレスと頭痛との関係はよく知られていますが、生きている限りストレスフリーなどはあり得ない。
ストレスには善玉と悪玉があり、善玉ストレスは心身の健康に必要なので積極的に活用しようという御提言。
ガムや貧乏ゆすり、音楽を聴くことで頭痛が軽減すること。
片頭痛の予防や緊張型頭痛の緩和に効果のある「頭痛体操(検索でヒットします)」など臨床のTips満載のすばらしいご講演でした。

「ドラッグストアにおける市販鎮痛薬の使用実態」
一般薬局での売り上げの第3位は鎮痛薬(1位と2位はミネラルウォーターとティッシュ)であると言う事実、さらに合剤(鎮痛成分と鎮痛補助成分の混合)が多いこと、ロキソニンの市販薬が発売されて、売上比率が変わっていること、薬剤師さんが病院で治療すべき頭痛疾患のスクリーナーになれる可能性など、ドラッグストアの実態を明らかにしていただき、非常に参考になりました。

その他、帯状疱疹と頭痛との関係、頚部痛とCrowned dens syndromeなど非常に興味深いご発表が多数ありました。

片頭痛や緊張型頭痛は殆ど問診のみで診断する事ができます、
しかしながら「いつもと違う頭痛」の場合は早期に医療機関を受診し相談する事、症状によってはCTMRIなどの画像診断での確認が必要となるでしょう。

2011年2月26日土曜日

帯状疱疹の痛み

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック


子供の頃にかかったみずぼうそうウィルス(水痘帯状疱疹ウィルス)は脊髄の後根神経節や三叉神経節に潜伏感染し通常は何もせずおとなしくしています

ストレスや免疫力の低下などをきっかけにウィルスが再活性化し発疹と痛みを起こす帯状疱疹を発症します。

通常身体の片側に生じ、ピリピリ、チクチクする痛みが水疱に先行する場合もあります

水疱の治療は主に皮膚科で行いますが、抗ウィルス薬でのウィルス増殖の抑制、初期の炎症や痛みには抗炎症薬を用います

痛みの性質は

  • ピリピリ、チクチクと表現される刺痛であったり
  • かるく触っただけ、風が吹いただけでも痛かったり
  • 灼けるような痛みであったり
  • ビーンと電気が走るような発作痛であったり

など様々です。

皮膚の症状が治まるにつれ、痛みも落ち着いてくる場合が多いですが、

  • 皮膚の症状が重症
  • 60才以上での発症
  • 発症早期から皮膚の知覚が低下するような場合

に神経痛を残す事があります。

皮膚の症状が治った後でも、神経痛だけが残りますので帯状疱疹後神経痛と呼ばれます

神経痛への移行を予防するために、痛みが強い場合は出来るだけ早く痛みに対する専門治療が必要となります

治療薬として痛みの性質に応じて

  • 消炎鎮痛薬
  • 抗うつ薬
  • 抗けいれん薬
  • 副腎皮質ホルモン薬
などが用いられますが、
痛みが強い場合にはペインクリニックで神経ブロック治療を併用します

2010年、帯状疱疹後神経痛に適応のある薬、
プレガバリン「商品名 リリカ®」
が日本でも使用出来る様になり、治療の選択肢が広がりました。




2011年2月25日金曜日

三叉神経痛



三叉神経痛は別名疼痛性チックとも言われ、顔面に生じる痛みの中でも、最も痛みの強い部類に含まれます。

通常片側に生じ、痛みの性質は
「電気が走るような激痛」
「刃物で刺されるような刺痛」
等の大変強い言葉で表現されます。

三叉神経の3本の枝の中でも頬(第2枝)、顎(第3枝)に症状が出ることが
殆どで、額(第1枝)に生じることは希です。

発作的な痛みは
トリガー域(痛みはいつも決まった場所から生じる)
トリガー因子(痛みは洗顔、ひげ剃り、歯磨き、食事などのいつも決まった刺激で起きる)
によって誘発されることが特徴的で、発作が続くと満足に食事を取れなくなる場合もあります。

痛みの持続時間は数秒から長くても2分程度です、
鈍い痛みが長時間続くようなら別の病態かもしれません。

テグレトールが非常に良く効きますが、服薬のみで発作痛が治まらない場合は手術や神経ブロックなどが併用されることもあります。

脳内の血管と三叉神経節が接触することで、三叉神経痛が生じることが知られていますが、希に目や鼻、歯や脳自体の変化で神経痛様の症状が起きる場合がありますので、念のために頭部MRIなどの画像診断を受けておくのが安心でしょう。

2011年2月23日水曜日

痛みを測定する

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

視覚や聴覚と異なり、痛みの度合いを測定器で簡単に測る方法はまだありません。
痛みという感覚は情動を伴う感覚なので、痛みに対する不安や恐怖感などの影響を受けるからです。

解剖学的にもヒトが痛みを感じている時、情動を司る脳と痛み知覚を司る脳の両方が連携して機能していることが知られています。

実際に痛くないと思うことで、痛みを軽く感じる事を実証した研究があります
PNAS : 2005 vol. 102(36) 12950-1295, Koyama et al)。

「痛いの飛んでけ」と唱えることで痛みを和らげる、昔から我々が本能的に行ってきた事を科学的に実証したすばらしい研究です。

さて実際に痛みを評価する際には、通常の問診、診察に加え
1.質問票に痛みの状況を記入して頂いたり、

2.痛み計(前腕に微弱な電流を流し、痛み知覚を測定Painvision)、温冷覚検査(QST
などを用いたりしますが、
時間がかかりますので日常診療では毎回は行えません。

普段は
1.痛みを0(痛みなし)から100(最悪の痛み)までの数値で示したり、

2.フェイススケール(痛み度合いに対応して笑った顔から泣いた顔まで6段階の表情)で示したりなどの簡便な方法を用いています。

幸い日本語には痛みを表す言葉がたくさんあります
(ぴりぴり、ずきずき、ちくちく、ずーん、締め付けられるようななど、)。

受診される際には、
1.今現在の状況

2.治療前と比べてどう変わったか

3.将来痛みが減ったときどういう状況になりたいか

をご自分の言葉で表現して頂ければ、診断や治療に大変役に立ちます。

2011年2月21日月曜日

アセトアミノフェン

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

カロナール、アンヒバ、ピリナジン(小児の解熱薬でおなじみですね)などの名前でよく知られている鎮痛薬です。

安価で副作用が少ないことより海外では鎮痛薬の第一選択薬として使用されることが多いです。

成人の痛み症状へ使用する場合ある程度の量を使うことが必要で、単回投与する場合は一回量300mgから1000mg処方する事があります。

一回1000mgはカロナールだと300mg錠と200mg錠をそれぞれ2錠(合計4錠)服用することになりますので、細粒などの方が使い勝手が良いかもしれません。

これまで日本では1日の最大投与量が1500mgでしたが、最近用量が海外なみの4000mgへ拡大されました。

中程度までの痛み症状へはアセトアミノフェン単独でコントロールされますが、中程度以上の痛みであったり、神経痛を伴ったりする場合は抗けいれん薬、抗うつ薬などの鎮痛補助薬や医療用麻薬性鎮痛薬と組み合わせて使用されることがあります。

したがって海外並に用量が拡大された事は、がんに伴う痛みや神経痛を伴う場合にメリットとなると思われます。

海外ではアセトアミノフェンと他の鎮痛薬(弱オピオイド)を組み合わせた合剤が使用されています。

日本でも合剤が使用出来る様になれば、ペインクリニック医、痛みに悩む患者さんにとって治療の選択肢が増えるでしょう。
追記)
2011年7月よりトラムセット配合錠®として日本でも使用出来るようになりました

2011年2月18日金曜日

ラジオ収録

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

昨日は午前診終了後、三宮は兵庫県医師会館へ。 

知り合いのドクターからご紹介頂いた、お仕事。 

ラジオ関西「みんなの健康相談」の録音にのぞみました。


お題は「麻酔とアレルギー」。 

レジメを作っていったのだけれど、有能なアナウンサーさんの導きで 

「こういう流れにしましょう!」といわれるがまま お任せ状態でした。

本番一発録りで、原稿を読んでいるにもかかわらず、何か所か舌足らずで噛む始末 

「流暢にしゃべりすぎると、耳に残らないものです」 

「当社の有能なディレクターの技術で、聴きやすく編集します!」 

と、暖かい言葉をかけて頂く。 

もう一回やれば、もうちょっとましになったかも? 

後ろ髪を引かれつつ、退散。 

医療の現場でも「もう一回」はないもんね。 

ラジオ関西のスタッフの皆様、ありがとうございました! 

3月12日(土)午前7時50分よりラジオ関西でオンエア予定です。 

汗かきました。 


資料を貸してくれた、「かず」さんありがとう。

2011年2月14日月曜日

ペインクリニック科での主な対象疾患

西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

ペインクリニック科では一体どういった症状を診てもらえるのか?
と言うお問い合わせを頂くことがあります

整形外科との違いがよく分からないと言うお問い合わせを頂くこともあります(ペインクリニック科と整形外科との違い

ペインクリニックとは
痛み症状を総合的に診断・治療する診療科の事ですが、

主に次の様な疾患に対応しております。

1)整形外科疾患一般
  • 首の痛み(頸椎症、頸椎椎間板ヘルニアなどによる首・手の痛み、寝違い)
  • 肩の痛み(肩こり、四十肩、五十肩)
  • 胸の痛み(肋間神経痛、圧迫骨折、帯状疱疹後神経痛)
  • 腰痛(ぎっくり腰、慢性腰痛、腰部椎間板ヘルニア)
  • 下肢痛(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症などによる足の痛み)
  • 膝の痛み(変形性膝関節症など)
2)頭痛、顔面痛
    • 頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、後頭神経痛など)
    • 顔面痛
    • 三叉神経痛
    • 舌咽神経痛
    • 顔面けいれんなど
    3)様々な原因で起こる神経痛

    などです

    頭痛や首、肩、腕、腰、足などの痛み・しびれでお悩みの方はお気軽にご相談下さい

    ペインクリニック科では痛み症状を総合的に診断・治療いたします






    2011年2月9日水曜日

    院内設備のご案内

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック


    さかうえクリニックの院内設備をご案内いたします

    受付 スタッフが笑顔でお迎え致します
























    診察室





    エックス線室
    一般撮影と透視装置を備えています




     処置室




    化粧室
    男女別、バリアフリー仕様で車椅子でのご利用も可能です

    2011年2月8日火曜日

    電車で来院される方へ

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

    電車で来院される方へのご案内です


    • 阪神本線西宮駅・えびす口改札を出て1階へ下りて下さい



    • 駅の北側のバス停、ポケットパーク方面へ進んで下さい








    • バス停を通り過ぎると公園(和上公園)が見えてきます
    • そのまま、2号線方面へ進んで下さい

















    • 右側に果物屋さん、魚屋さんが見えてきます
    • まもなく、日本生命西宮ビルが見えてきます




    • 1階にさかうえクリニック、駐輪場が見えてきます


    • 2号線を右手におれるとさかうえクリニック入り口です




    クリニックの場所がわかりにくい時は下記にご連絡ください、スタッフが説明させて頂きます
    0798-38-8388

    2011年2月7日月曜日

    ペインクリニックとは

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック


    ペインクリニックの
    「ペイン」は「痛み」、「クリニック」とは「診療所」の事で、
    投薬治療神経ブロック治療などにより、頭痛や首・肩・腕・腰・足などの全身の痛み・しびれを治療する診療科のことです

    痛みには大きく分けて
    急性の痛み
    • 病気や怪我、手術などによる痛み
    慢性の痛み
    • 慢性腰痛
    • 慢性頭痛
    • 帯状疱疹などの神経障害による痛み
    • 病気や怪我が治っても痛みだけが残る状態
    があります
    急性の痛みには

    • 「身体の中で何かがおこっている」という生体の警告信号の役割がありますが、

    慢性の痛みには警告信号の意味は既に無くなっており

    • 痛み自体が病気、「痛み病」と行って良い状態と考えられています
    多くの日本人が、頭痛、腰痛、肩痛、膝痛といった慢性的な痛み症状を日常から感じていることが、調査で明らかとなっています
    人口の高齢化により

    • 手術をするほどでも無いけれど身体の様々な痛み症状に悩まされ
    • 痛み症状のために趣味を楽しんだり、旅行に出かけたりといった満足度の高い生活を送れない
    方が増えています
    様々な痛みを総合的に診断・治療し、質の高い生活を送るお手伝いをする事が、ペインクリニック専門医の役割です

    2011年2月6日日曜日

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック ロゴ

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

    さかうえクリニックのロゴはハトがオリーブをくわえたマークです

    旧約聖書のノアの洪水のエピソードの中に、ノアが放ったハトがオリーブを持ち帰ったと言う伝えがあります

    ハトもオリーブも現在では平和の象徴です

    当院は「痛みの治療を専門」としております

    「平穏、無事に痛みの無い生活を過ごして頂くお手伝いをしたい」

    と言う願いをロゴマークに託しました

    どうぞよろしくお願いいたします

    2011年2月1日火曜日

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック

    西宮市のペインクリニック さかうえクリニック


    この度阪神本線西宮駅すぐの場所に新しくペインクリニックを開設致しました。

    急性期の痛みは「からだ」の異常を知らせる警告信号ですが、痛み症状が長引く場合には「痛み」症状自体が病気といえる状態になることが知られています。

    これまで大阪大学医学部麻酔科関連施設で疼痛医療・ペインクリニックの診断・治療を行って参りましたが、より地域に根ざしたペインクリニック専門医院を目指し開業致しました。

    痛み症状でお困りの方は気軽に相談頂ければ幸いです。

    当クリニックは兵庫県立西宮病院に近接しており、病診連携をはかっております。MRIやCTなどの高度な画像診断も当院より依頼が可能です。



    と題して、日々の診療、ペインクリニックで扱う痛みの治療についての話題をお届けいたします。